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今回のキャリア・レポートでは、アメリカで通訳の仕事をしている方を紹介します!

アメリカで通訳をしている方の多くはフリーランスとして働いているそうですが、そういった今まで知らなかったことがわかるので、将来通訳や英語を使った仕事をしたいと思っている方などは、ぜひ読んでみてください!

自己紹介とキャリア概要

アリゾナ州フェニックス(市)のコミュニティーカレッジを卒業後、一般企業に就職、そしてフリーランスの通訳の仕事を始めました。

仕事概要は簡単に言うと、日本の短期の派遣社員の様なシステムだと思います。通訳者を斡旋する会社に登録をして、その会社のクライアントさんの仕事を紹介していただくようなシステムになっています。仕事依頼は一つの業界からだけではなく、いろいろな業種の方から来ます。能力的に難しい案件は受ける必要はありませんし、断っても金銭的ペナルティは発生しません。

おそらく日本で通訳の仕事をするより時給は良いと思いますが、不定期な仕事なので収入は安定しませんし、いつ仕事が依頼されるかわからない為、会社が休みの土日祝日、有給休暇などを使って事前に計画を立てて旅行などに頻繁に行きたい人には向かない仕事ではないかと思います。

フリーランスで働くということは、休み=休日ではなく、休み=仕事がない=収入がない、ということで、フリーランス=自由な時間がある、というわけでは決してありません。無理をする必要はありませんが、いつ依頼が来るかわからないので、時間はなるべく開けておく様にしています。

通訳者を目指したきっかけや経緯

日本でキャリアチェンジをするために語学留学をしたことが、アメリカでの就職のきっかけになりました。

最初の目標は『普通に英語を喋れるようになること』で、語学留学だけして日本に帰国しようと思っていました。その上、元々通訳、翻訳者になるための勉強もした事がなかったので、自分が通訳者になるとはまったく思ってもみませんでした。

一本のEメールがきっかけで通訳者に

アリゾナ州フェニックス(市)のコミュニティーカレッジ卒業間際にプラクティカルトレーニングビザの申請をして、アメリカでの就職先を探し始めて暫くしたある日、大学の時のクラスメートからEメールが届きました。

Eメールの内容は、彼が就職した会社が日本企業と取引をするかもしれないので、ビジネスレターの翻訳をしてもらいたいという事でした。

就職活動に身も心も疲れ果てていた矢先のことだったので、元クラスメートからの依頼をすぐに了承しました。もともとビジネス専攻だったので、ビジネスレターの翻訳はとてもうまくいき、日本から企業の方がいらっしゃった時に、通訳者として呼んで頂きました。

通訳者として始めての仕事はこの元クラスメートからの依頼でしたが、その時はまだ就労ビザを持っていなかった為、フリーランスで働いていける状態ではありませんでした。

アメリカで企業に就労ビザをスポンサーしてもらう場合、正社員であることが条件で、通訳者としての正社員募集も探してみましたが、フェニックス近郊にその様な募集が全くなかった為、ビザサポートをしてくれた地元不動産会社に勤めながら、しばらくは友人知人から頼まれた通訳や翻訳の仕事をお小遣い稼ぎ程度にしていました。

不動産会社に就職して4年後、アメリカ永住権を取得して、元クラスメートから始めて通訳の仕事を依頼されてから5年後に初めてフリーランスとして通訳、翻訳の仕事を斡旋してくれる会社に登録をしました。

通訳者としての仕事内容

登録した通訳斡旋会社のクライアントさんから仕事依頼がきたら連絡を頂いて、時間が合えばその仕事を紹介していただくようなシステムになっています。

指定された場所に指定された時間に出向いて仕事をします。私がよく依頼される仕事は医療関係と裁判所関係です。医療関係の仕事では、病院に一緒に行ってお医者さんと患者さんの会話を通訳します。裁判所では、裁判官と被告人の会話などヘッドフォンを使って通訳します。

もしもクライアントに通訳者として不適当だと思われた場合、もうそこからの仕事の依頼は来なくなるので、専門用語の勉強なども事前にしておかなければなりません。私が登録している通訳斡旋会社からの依頼は、逐次通訳と同時通訳の2種類があり、現在私が行なっているのは逐次通訳のみです。同時通訳の仕事がないわけではありませんが、もしもクライアントに通訳者として不適当だと判断された場合、次回逐次通訳の仕事の依頼があっても、そのサイトでの仕事ができなくなるので、今は同時通訳の仕事は敬遠しています。

お仕事を紹介された時点でのこちらからのお断りには罰金が発生しませんが、遅刻した場合は金銭ペナルティ(25%引き)があるので、待ち合わせ場所に10分前には着けるよう地図や道路状態を把握することも重要です。

1日の仕事の流れ

仕事の流れとしては、仕事をする日の3〜5日前に翻訳者斡旋会社から仕事依頼の電話連絡が来ます。その時に私のスケジュールに空きがあり、仕事を受けることができるか聞かれます。ここで仕事依頼を承諾すると、次に委細事項がEメールで送られて来ます。もし何か質問などがあれば、その時点で質問します。

Eメールには、場所と時間が記されているので、インターネットで住所を調べてそこまで行くのにかかる時間や行き方などを調べ、最低10分前には到着できるようにします。

Eメールに添付されている書類をプリントアウトして現場に持参し、仕事開始時間と終了時間、サイトの責任者からサインを頂いて、記入後の書類を斡旋会社に送付して仕事終了です。

仕事の内容は事前に詳しく説明されませんので、他の通訳の人たちが全員しているとは限りませんが、私は場所や依頼主の名前などを手掛かりにどのような仕事になるのかを想定して準備します。

専門分野の知識などは、ユーチューブなどで検索して、イメージトレーニングをしておきます。例えば裁判所の仕事なら仕事場での全体の流れを視聴して、使用されている専門用語などは事前に調べておきます。

通訳をする際に一番大切な事は自分が落ち着いていることだと思っていますので、事前準備にはなるべく時間をかけるようにしています。

年収やキャリアデザイン、働き方

フリーランスなので、年収=仕事量です。

私が登録している会社は1時間5,000円、最低2時間保証で計算されています。10分でも2時間でも、1回仕事をすると10,000円の賃金が最低保証され、2時間以上の仕事は1時間ごとに5,000円ずつ追加されます。クライアントが仕事開始24時間以内にキャンセルしても最低賃金は頂けます。

フリーランスと言っても、自分で営業はしていません。その代わり通訳者を斡旋してくれる会社に数社登録しています。その理由は、ハワイやサンフランシスコ、ロサンゼルスなど日本人が観光でよく訪れるところなら観光通訳の仕事も頻繁にあるかもしれませんが、フェニックスは日本人観光客がそれほど来るわけでもなく、1社だけだと月に大した量の仕事をもらえるわけではないからです。

会社に登録はしていますが、社員ではないので会社出社義務はありません。年に1度通訳斡旋会社から医療関係のトレーニングを受けるようにと連絡が来ます。それを受けないと医療機関内での仕事ができませんが、トレーニングはインターネットを通してなので、自宅で好きな時に受けることができます。

キャリアデザインとしては、もっと高い時給を払ってくれる斡旋会社に登録するのが一般的のようです。勿論高い時給をもらうには、自分のスキルをアップしなければなりません。

フリーランス通訳としての苦労

アメリカで通訳翻訳者のほとんどはフリーランスで、正社員として通訳、翻訳者を抱えている会社はほとんどないと思います。その方が企業側からすると経費の節約にもなり、質の高いサービスを受けられるからだと思います。

今後の動向として翻訳通訳業界のみならず、アメリカ企業全体がフリーランス的な職業形態が普通になっていくのではと思います。

今現在日本で通訳や翻訳の勉強をきちんとした通訳者さんと呼ばれる方が渡米して来ても、正社員通訳者のポジションでの募集はほとんど100%有りません。企業で社員が通訳翻訳の仕事をする場合、いろいろな業務の一つが翻訳や通訳だったりするわけで、通訳者として専業で会社に雇われていることはまずありません。

グリーンカード(永住権)の取得は大変

通訳、翻訳者としてじっくり仕事に打ち込みたければフリーランスで頑張るしかありませんが、今度はビザの問題が発生します。

無事にビザサポートをしてくれる会社に入社して、グリーンカードを申請できたとしても、申請から取得までどんなに早くても2年、長い場合だと取得までに10年もかかります。会社にスポンサーになって貰って申請するからには、申請期間中とその後もしばらくは手続きでお世話になった会社で働き続ける覚悟が必要です。

ちなみに私はグリーンカード申請から取得まで4年かかりました。でも申請した後は普通に会社で日常業務をこなしていただけなので、それほど苦労した感は無かったです。しかし、もしもグリーンカードを申請したいがために自分の好みの業種でない会社で、身動き取れずに何年もひたすら移民局からの連絡を待つ日々は大変辛いと思います。

就労ビザから永住権を申請する場合、弁護士のサポートも必要になり、最初に支払う費用だけで数十万円、その後も色々と弁護士費用が請求されます。最終的に100万円くらいかかる人もザラです。

昨今厳しくなりつつあるビザ取得にかかる時間と労力とお金を考えると、アメリカでフリーランスの通訳としてやっていくのは大変だといえます。

英語の習得と通訳者への道

英語はアメリカに語学留学をして学びましたが、通訳スクールで通訳者養成の訓練は受けていません。トレーニング自体は独学でも十分できますし、実際独学で勉強して通訳の仕事をしている人もたくさん知っています。

アメリカで通訳、翻訳者になる場合、特にどこかの企業に雇ってもらう場合は、アメリカの4年生大学を卒業することが第一の目標になります。費用は4年生大学卒業まで、生活費も込みで最低400〜500万円くらいかかると思います。

オンラインで大学を卒業することができますが、通訳は人と会話することに慣れるのも重要なので、学校に通うことをお勧めします。そして本気で通訳者になろうと思うのなら、アメリカの大学の通訳者の養成コースの授業に通うべきだと思います。

よく英語力と通訳力は違うと言いますが、その通りだと思います。英語で考えて英語で会話するようになると、今喋っていた言葉でさえ日本語に直すことは簡単なことではありません。そして2ヶ国語を頭の中で同時に考えるようにできなければ、正確に通訳することはできません。

学校に通うことで、英語力がアップして、通訳養成のクラスで通訳者としてのスキルもアップすることができるので、一挙両得ですし、多くの大学には通訳者の養成コースがあり、コースを修了すると証書がもらえるので、就職するときにも便利だと思います。

まとめ

通訳翻訳業界もアウトソーシングやクラウドソーシングの波が広がっていて、単価は下がり、競争は激しく、もう単に英語を日本語に訳せるだけで生計を立てられる人はそう沢山はいないでしょう。

フリーランスの職業に対して不安要素はたくさんあると思います。私自身も普通に会社勤めだけをして、オフィスを出たら、仕事のことは全て忘れて自分の時間を大切にするほうがよっぽどいいと思う時もよくあります。

フリーランス通訳の仕事は、決して将来が明るい職業ではありませんが、淡々と堅実に生きるより、苦労しても会社からの命令で動くのではなく、全部自分で決めて行動できるこの仕事に私はやりがいを感じます。