この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「天」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。

「天」とは、人の上にある存在や人を超えた存在を現します。また、人間が暮らす「地」の対義語であり、人の上方ということから「空」の意味と重なるつかわれ方もします。

そんな「天」のつく「ことわざ」を今回は4つ選んで英語に訳しました。

1.一念天に通ず

「一念天に通ず」は、どんなことも、成功させるという固い信念を持って臨めば、必ず天に通じて成し遂げられるという意味の「ことわざ」です。

英語では
「Care and diligence bring luck.」
と翻訳することができます。

直訳すると「専心と勤勉は幸運をもたらす」という意味です。

”care”は「注意・用心、世話・管理、手入れ」などの意味を持ちますが、ここでは「専心(専念すること)」の意味でつかわれています。”diligence”とは「勤勉、不断の努力」の意味です。

2.天に口あり 地に耳あり

「天に口あり 地に耳あり」は、どんな秘密や悪事も、だれかに話せばいつの間にか広まってしまうことを意味する「ことわざ」です。同じ意味を持つ「ことわざ」に、「壁に耳あり障子に目あり」があります。どこで誰が聴いているか分からないので、内緒話は心にしまっておくのが良いかもしれません。

英語では
「Walls have ears.」
と翻訳することができます。

直訳すると「壁に耳あり」という意味です。

他に「You never know who is watching.」と表現することもできます。「だれが見ているかわからない」という意味です。”never~”で「決して~ない」という意味です。

3.天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず

教育者で知られる福沢諭吉の著書『学問のすすめ』には、「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という有名な言葉があります。これは、人間は全て平等であり、身分によって偏見や差別をしてはならないと説いています。

英語では
「All men are created equal.」
と翻訳することができます。

直訳で「すべての人間は平等につくられている」で、「学問のすゝめ」が引用したとされるアメリカ独立宣言の原文の一部です。

”equal”は「等しい・同じ、平等」という意味を持ちます。

4.天上天下唯我独尊

「天上天下唯我独尊」は、天と地の間において、「我」よりも尊いものはないということで、釈迦(しゃか)が人格の尊厳を教えた言葉とされる「ことわざ」です。

釈迦は摩耶夫人(まやぶにん)の右脇から生まれたとされていますが、驚くことに、生まれたばかりの釈迦は7歩歩いた後に右手で天を指し、左手で地をさして「天上天下唯我独尊」と発したという伝説があります。

英語では
「Above earth, under heaven, I alone am worthy of honour.」
と翻訳することができます。

直訳すると「地上で、天の下で、自分はたった一人の唯一の存在である」という意味になります。

”worthy”とは「価値のある、立派な」という意味で、”worthy of ~”で、「~に値する」という意味になります。”honour”(米:honor)は「名誉、面目、尊敬」の意味の英単語です。

5.天は二物を与えず

「天は二物を与えず」は、天は一人の人間にいくつもの長所は与えないので、すべての長所を兼ねそろえた人はいないということを意味する「ことわざ」です。ひいては、人には長所も短所も1つずつあるという意味でもあります。

英語では
「The water that came from the same spring cannot be both pure and salt.」
と翻訳することができます。

直訳すると「同じ泉から出た水が同時に淡水であり、かつ塩水であるということは有り得ない」という意味です。

”spring”は「春、泉、バネ、跳躍」など様々な意味をもち、ここでは「泉」の意味でつかわれています。

”both A and B”は、「AとBのどちらも」という英熟語です。

まとめ

今回は、「天」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。

今回は福沢諭吉の「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」や釈迦の「天上天下唯我独尊」など歴史に残る「名言」もご紹介しました。「天」は昔から人の上にあるものと考えられていたことから、格式高い「ことわざ」や「名言」が多く生まれているようです。

今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!