日本は長くて、欧米は短いものな~んだ?

答えは、「産後の入院期間」です!

今回は、女性にとって人生の中でも大きなイベントである出産、新しい命を生み出すためには母体にも大きな負担がかかります。けれども、欧米では出産後に入院せずにそのまま帰る人もいるそうなのです!びっくりですね。

というわけで、今回は「日本と欧米の出産事情」について比較してみました。

日本は産後入院が長く、欧米は短いのはなぜ?2つの理由

日本は出産後、自然分娩なら5日から1週間程度、帝王切開なら1週間から10日程度、出産した病院で産後入院をします。

欧米では、出産後翌日退院というのも珍しくありません。産婦の状態によっては、産後そのまま赤ちゃんを抱いて自宅に帰宅することもできます。

同じ人間なのに、日本と欧米では産後入院期間にこれほど差があるのでしょうか?これは2つの理由があります。

1)人種的な体質の違い

日本人と欧米人を比較すると、どうしても人種的な体格や体質の違いがあります。日本人はやせ型で身長も低め、一方で欧米人は体格もがっしりしていて身長も高めです。現代ではすっかり日本にも欧米式の食事や習慣が広がった為、日本人の身長やスタイルも変化してきました。けれども、生まれ持った人種的な体質にはどうしても差が出ます。

出産についても、日本人の方が欧米人と比べて負担がかかりやすく、産後の回復にも時間を要します。ですので、入院期間が日本の方が長くなっているのです。

2)分娩方法の違い

出産する時には日本は陣痛や赤ちゃんが出てくる痛みに耐えて出産する自然分娩、欧米では麻酔によって出産に伴う痛みを軽減する無痛分娩が主流になっています。

自然分娩よりも無痛分娩の方が母体にかかる痛みやストレスが軽くなるので、産後も無痛の方が元気ですし、産後の母体の回復スピードも速くなります。

日本は忍耐を美学とする国民性があります。その為、「痛みに耐えてこそ出産」「無痛分娩だと根性なし」など、無痛分娩への風当たりが強くいまだ自然分娩が主流となっていますが、その考え方も少しずつ変わり、無痛分娩を取り扱う産院も増えてきました。

日本の産後入院はうらやましい!?という声も

日本は産後入院期間が欧米よりも長い為、その間に授乳や沐浴、赤ちゃんのケアなどの市道を助産師や看護師から受けます。また、入院中の食事も病院から提供されます。

日本では切迫流産や妊娠高血圧・糖尿病などいわゆるハイリスク出産に該当すると、ハイリスクに対応できる総合病院などでの出産になりますが、それ以外は出産する産院に空きがあれば、自由に分娩予約が取れます。その為、入院中に提供される食事がおいしい、産後エステやお祝いディナーなどがある、などの付帯サービスで出産する病院を選ぶ日本人が多いです。

総じて日本の産院で提供される食事はおいしいと言われています。日本で出産した外国人女性が産院で提供されている食事をSNSに投稿した所、「ホテルのディナーみたい!」「うらやましい!」との声が続出した、という話もあります。

入院期間が長い為、日本の産院のおいしくてバランスの取れた食事や手厚いサービスが、欧米の女性から見ると羨ましく感じることもある様です。

帝王切開の普及率、ブラジルはほぼ100%!?

日本と比べて欧米諸国の方が帝王切開の普及率が高いデータもあります。帝王切開の出産率が一番高い国はブラジルで、全体の80%~90%が帝王切開での出産です。公立ではなく私営の病院で出産した場合は、ほぼ100%帝王切開での出産になるともいわれています。

ブラジルと同じく南米のメキシコやアルゼンチンも35から46%、アメリカやオーストラリアでは30から35%、イギリスでも20から25%と、欧米諸国ではおよそ4人に1人が帝王切開で出産しています。

なぜ欧米での帝王切開の出産率が高くなっているかの理由は、前述の無痛分娩の普及率が高いことが関連しています。例えば、アメリカでは無痛分娩の為の硬膜外麻酔後、出産が3時間以内に完了しなかった場合母体や胎児のリスクを回避するために、すぐに帝王切開に切り替えます。

一方で日本の帝王切開の出産率はおよそ19%です。近年の日本では高齢出産などハイリスク因子のある出産が増えたために、帝王切開の出産率が急増しましたが、その上での数値となっています。

退院後、日本はゆっくり休む・欧米はすぐに動き出す

退院後の生活を見てみると、日本では産後母親はできるだけ体を動かさず、赤ちゃんのお世話だけをして後は無理をしないように、という風習があります。これは、まだ栄養状態や衛生状態が悪かった時代に、母体が無理をしてしまうと感染症などにかかり、そのまま死亡してしまうケースも多かったからです。「産後の肥立ちが良い・悪い」という、産後の体の回復状態を指す言葉としても残っています。

現在の日本でも、産後はあまり無理をしないように、産後21日間は布団を敷きっぱなしにした状態で赤ちゃんの世話以外、母親は寝ていられるようにし、22日後からは布団を片付けて少しずつ動き始める「床上げ」や、出産時に実家に戻り、赤ちゃんの世話以外の家事や身の回りのことを、実母や家族にサポートしてもらう「里帰り」の風習として残っています。

欧米では、床上げや里帰りの風習はありません。退院後すぐに家事も赤ちゃんの世話も行います。

これは、前述の体質の違い、そして産後の体力も残りやすい無痛分娩の普及だけでなく、日本と欧米間での産後の周りのサポート体制の違いがあります。日本は出産後、母親ひとりで育児を行い父親は普段通りに仕事を行ってきました。どうしても産後の人手が足りず、母親に負担がかかってしまうので、里帰りをして出産をするケースが今でも多いのです。

一方で、欧米では夫も育児休暇を取得するのは当たり前。夫婦で家事も育児も行いますので、夫婦ふたりきりでも出産後の生活を乗り切ることができるのです。

日本では父親の育児不参加による母親への負担の大きさが深刻化しています。共働きが当たり前となった現在では、母親に大きな負担がかかってしまう為、日本でも母親だけでなく父親が育児休暇を取得するケースも少しずつ増えてきました。それだけでなく、里帰りができない母親の為に、産褥シッターサービスや産褥期に入院ができる施設も増えてきました。

まとめ

いかがでしたか?日本の産後事情も時代の変遷とともに変化してきました。

国や人種によって事情は異なっても、世界中のお母さんたちが無事に出産し、産後の生活を送れることが一番大切と言えますね。