2021年、1年遅れでオリンピックが開催されました。日本では57年ぶりの開催となります。今までは1対1のトーナメント戦だったアーチェリーですが、東京オリンピックから新種目の男女混合団体戦も行われることになりました。アーチェリーの試合は7月23日から7月31日の間に行われます。アーチェリーのスペルはarcheryですが、他にもどんな英単語が使われているのか、それぞれ見ていきましょう。

アーチェリーとは?

アーチェリーは洋弓を使って的を射る射撃競技の一種です。元々は狩猟の手段でしたが、16 世紀にイギリスの王様、ヘンリー8世がアーチェリーのコンテストを開催したのがきっかけでスポーツとなりました。日本にアーチェリーが競技として導入されたのは1950年代後半に入ってからです。archeryの語源はラテン語の arcus(弓) から来ています。

アーチェリーに使う道具は英語でなんという?

構造

競技はbow(ボウ:弓)、arrow(アロー:矢)の2つを使って行います。ボウはrizer/handle(ライザーまたはハンドル:弓の持ち手部分)、limbs(リム:弓を引く時にしなる部位)、string(ストリング:弦)、slight(サイト:照準器)、stabilizer(スタビライザー:安定器)が基本構造です。

道具

道具にはアローを入れるquiver(クイーパー:矢筒)や弓矢をしまうbow case(ボウケース)、防具にはchestguard(チェストガード)armguard(アームガード)、archer tab/finger tab/glove(タブまたはグローブ)、bow sling/finger sling(ボウスリングまたはフィンガースリング)があります。

アーチェリーの種目にはどんなものがあるの?

アーチェリーにはリカーブボウrecurve bow(リカーブボウ)、コンパウンドボウcompound bow(コンパウントボウ) 、bare Bow(ベアボウ)の競技があります。オリンピックではリカーブボウ、パラリンピックではリカーブボウとコンパウンドボウの種目があります。それぞれのボウについては下で解説していきます。

リカーブボウ

recurveとは「反る」の意味なので、リムが最初から曲がっているのが特徴です。世界的にはコンパウンドボウが主流ですが、日本のアーチェリーといえばリカーブボウのことを示すことが多いです。

コンパウンドボウ

compoundは「化合物」を意味するので、日本語では化合弓または複合弓と訳されます。コンパウンドボウの場合はリムがcams(カム:ストリングを引く滑車)と繋がっており、リムをしならせることなく強い力をかけてアローを飛ばすことができます。

ベアボウ

bareは「裸の、剥き出しの」という意味なので、日本語では裸弓と呼ばれます。サイトやスタピライザーがない原始的な構造の弓です。ベアボウの大会はリカーブボウ、コンパウンドボウに比べて少ないですが、オリンピックへの導入も検討されています。

弓道との違いは?

日本には和弓を使う競技の弓道がありますが、弓道は英語でそのままKyudoです。Kyudoでは一般の人に通じないこともあるので、Japanese archeryと言われることも多いようです。競技も判定が異なり、アーチェリーは的の中心に近いかどうかで得点をつける競技(ターゲットアーチェリー)ですが、弓道は的に当たるか・当たらないかが評価の基準となります。また、アーチェリーの鍛錬は精度を重視しますが、弓道は集中力などの精神面を重視します。

アーチェリーの射法は弓道に通ずる

アーチェリーのフォームは、日本の弓道における射法八節の動作を行います。これは日本のアーチェリー界独自のスタイルで、誰でも弓を撃てるようにするための型とされています。アーチェリーの競技には決まった射法がなく、どのようなスタイルでも各々が撃ちやすければ良いとされています。そのため歩きながら射る選手もしますし、パラリンピックでは顔や足を使うスタイルの選手もいます。日本のアーチェリーの射法は以下の8段階の手順を踏みます。

日本のアーチェリー射法

スタンス

弓道の「足踏み」に相当し、立つ位置を決めます。英語のstanceは野球やゴルフ、テニスなどで立ち位置を決めることを示します。

セット

弓道の「胴作り」に相当し、射るための姿勢を整えます。英語のsetは「揃える」「置く」などを意味します。ちなみにset playはサッカーやラグビーで決められたポジションから開始されるプレーのことです。

ノッキング

弓道の「弓構え」に相当し、ストリングにアローと指を引っ掛けます。nockは「矢をつがえる」を意味する動詞です。

セットアップ

弓道の「打起こし」に相当し、狙う的を見据えて持ち上げます。set upは「構える」の意味です。

ドローイング

弓道の「引分け」に相当し、弓を引きます。drawは「軽く滑らかに引っ張る」を意味する動詞です。

フルドロー

弓道の「会」に相当し、弓を引き絞って狙いを定めます。弓を引いた状態で固定することをanchor(アンカー)と言います。アンカーは矢を的中させるために重要なポイントであり、少しの誤差で射る場所が変わります。そのため海外でもanchor position(アンカーの位置)に到達する動作をfull drawと言います。

リリース

弓道の離れに相当し、矢を放ちます。releaseは「解放、放つ」を意味します。

フォロースルー

弓道の「残心」に相当し、矢を射た後の姿勢をとります。follow throughは英語で「実行したことなどを最後まで続けること」を意味します。アーチェリーに精神的なスタイルを当てはめるのは日本独自の考え方ですが、follw throughはゴルフやテニスで打球後にストロークを伸ばし切る意味でも使われます。

アーチェリーに監督はいる?

スポーツでは選手以外に監督、コーチ、トレーナー、アシスタントと役割がありますが、アーチェリーでは一般的にコーチと呼ばれるようです。2021年オリンピックの団体名簿には、アーチェリー部門にチームリーダー、コーチ、総務というチームスタッフがおり、他の競技にはチームリーダーと監督が両方いることもあります。役割の用語は英語と日本語では齟齬があるため、違いを説明するとなると少しややこしくなります。

監督

日本語ではスポーツを行うに当たっての方針を決める総指揮官です。チームの責任者でもあります。アニメや映画の制作の総括者も監督(directer)と呼ばれます。英語ではスポーツによって監督に相当する役職名が異なります。例えばメジャーリーグではfield coach、イギリスのサッカーチームはmanager、他の競技ではhead coachと呼ばれます。

コーチ

日本語ではスポーツを行うにあたって、実際に選手に指示を出す人々です。監督の役割を示すこともありますが、英語では監督の下につく立場の人です。コーチのリーダーを日本では代表コーチ/ヘッドコーチとも呼びますつまり英語において単なるcoachはassistant coachの意味になるので注意しましょう。

チームリーダー

部活動などでキャプテンのことを示すことがありますが、オリンピックでは役職名です。英語ではteam leaderと書き、各国の競技ごとのチームスタッフのリーダーです。

トレーナー

選手のサポートやメンタル面のケアを行う役割を持ちます。英語のtrainerは選手それぞれの指導を行う人を示します。

マネージャー

日本では選手のスケジュールを管理したりサポートを行うなど、選手の身の回りの雑務を担う立場の人を示します。英語のmanagerは前述した通り、監督に相当する役割を担う人のことを示します。

アーチェリーに関する例文

Aさん
She was Olmpian in archery, who become a archery club manager in high school now.
訳)彼女はアーチェリーのオリンピック選手だったので、高校アーチェリークラブのマネージャーになりました

この例文では「オリンピア競技の」を意味するOlmpianが書いてあるので、なんとなく元選手が指導者になるというイメージはあるかもしれません。この場合のmanagerは部活の監督に相当しますので、選手の補佐ではないことに注意しましょう。

英語とスポーツ用語を知れば一石二鳥

アーチェリーは西洋由来の競技なので、その様々な用語は弓道の精神を交えながら日本でも使われています。アーチェリーの楽しみ方は的を射るまでの張り詰めた空気感、選手ごとに個性のある撃ち方と言われていますが、スポーツ中継は英単語をイメージしながら見ると、また違った楽しみ方ができます。英語と一緒にスポーツ用語を理解しておけば、アーチェリーの解説もより聞きやすくなることでしょう。