英語に関する試験は数あれど、それぞれにどのような特徴があってどんな場面で役に立つのかということはあまり知られていません。

「大学受験や就職活動で有利な資格は?」「海外に留学するために受けておくべき試験は?」など英語を学ぶ中で浮かぶ疑問を解消し、自分にあった資格や試験を見つけるために、ここでは英語の各資格、試験の特徴や難易度についてご紹介します。

代表的な英語資格「英検」

英検は、実用英語技能検定の略称であり日本英語検定協会が主催する英語技能の検定試験です。日本でもよく親しまれているこの英検は試験を受ける際の年齢制限はなく、子どもからお年寄りまで実に幅広い年齢層の方が受験する人気の検定です。

年3回実施される試験の受験志願者数は300万人超と国内最大規模であり、学生時代にこの検定を受けたことがあるという人も少なくないでしょう。

英検は中学初級レベルの理解度を測る5級から、大学上級程度の英語力を問う1級まで分かれており自分の学習レベルや、ライフステージによってチャレンジする試験を選ぶことができます。試験は主にマークシート形式の筆記テスト、3級からはそれに面接試験が加わります。

日本国内の企業での認知度が高いということもあり就職活動をする学生に人気のある試験ですが、近年高まっている英語学習への関心や、学校での早期英語学習の流れもありさまざまな年齢層の方からも注目度が高まっています。

ここからはそんな英検を受験する際に参考になる5級から1級のレベルや試験の特徴について詳しくご紹介します。

英検5級

英検で最も難易度が低い5級は、英語の学習を始めたばかりの方におすすめの試験です。

このテストでは基本的な家族や趣味のことなどを問う問題が出題される傾向にあり、必要となる語彙は300から500語程度と中学初級レベルの知識や理解度があればスムーズに回答できるでしょう。英検5級は正答率が60%超で合格と考えられています。

英検4級

英検4級では簡単な文章を読み解く理解力と、さまざまな事柄を英語で表現する技術力を問う問題が多く出題されるため、英語の基礎力を固めたい方や自分の英語力を確かめたい学生におすすめの難易度です。

受験レベルの目安は中学中級程度の学習度といわれており、英語の基礎ができていれば小学生でも十分に合格を目指すことができます。英検4級の合格に必要な語彙は600から1300語で、合格には65%程度の正答率が必要だとされています。

英検3級

英検3級では中学卒業レベルの英語力が問う問題が多く出題されるため、高校入試を控える学生におすすめの難易度です。英検では3級から二次試験として面接形式のスピーキングテストが導入されるなど、4〜5級よりもさらに熟練した英語力が必要となり難易度もややあがります。

また、スピーキングテストの対策も必要となるため、合格を目指す際には筆記とスピーキングの勉強をバランスよく行うことがとても大切です。合格には一次試験で得点率67%程度、二次試験で得点率74%程度を目安とした正答率が必要となるため、予め過去問を解き自身の学習レベルを把握した上で試験対策を行いましょう。

英検2級

英検2級は高校卒業程度の英語力が問われるため、大学受験や就職活動を控える学生におすすめの難易度です。英検2級は大学入試や入学後の単位認定、就職活動の際のアピール材料としても利用することができるため、将来的に英語を武器にしていきたいと考えている人はとっておくに越したことはない資格といえるでしょう。

合格に必要となる語彙は5000単語程度といわれており、文化や社会的な問題を織り交ぜた長文を理解し問題に答えるスキルなどが要求される難しい試験ですが、過去問を解き出題形式や傾向を攻略することで合格を目指すことができます。試験の合格に必要な正答率は一次試験、二次試験ともに60〜70%といわれています。

英検1級

英検1級は、大学上級程度の英語力が問われる試験であり、最も難易度が高いクラスです。この試験の難しさは英語のネイティブスピーカーでも合格が難しいといわれる程であり、合格率も例年10%ほどに留まっています。一次試験二次試験ともに実践的な英語力が問われるということもあり、英語を使って仕事がしたい、将来的に海外で暮らしたいなど英語を使って目標を叶えたい人におすすめの試験です。

受験目安は語彙が10,000〜15,000語程度<、リスニングや長文読解力に加え、2分間のスピーチや面接官からのQ&Aに的確に答えられるスピーキング力が必要となります。一次試験、二次試験ともに正答率70%程度で合格となります。

TOEIC

TOEICとは「Test Of English for International Communication」の略称であり、国際コミュニケーション英語能力テストのことです。英検と比較して日常会話の他、ビジネスの場面を想定した問題が多く出題されるということもあり、就職を考えている大学生やスキルアップを目指している社会人が受験することの多い試験です。

TOEICにはそのテスト形式や内容によって4つの種類がありますが、ここでは一般的によく知られている「L&R TEST」と、注目が高まっている「S&W TEST」について簡単にご紹介します。

「L&R TEST」

L&R TESTはListening & Reading Testsの略称であり、その名の通り英語を「聞く力」と「読む力」を測るマークシート形式の試験です。TOEICの4つあるテストの中で受験者の殆どが選ぶこのL&R TESTは、一部の企業で新卒、中途採用時の評価基準として採用されることもあり、大手企業への就職を目指す学生にはぜひおすすめしたい試験です。

TOEICのテストには合格基準はなく、受験者の正答率によって990点を満点とした独自のスコアがつけられます。一般的に595点以下が英検2〜5級程度、600点を超えてくると一定以上の英語力があるとみなされ履歴書でのアピール材料となります。800点からは英語が強みといえるほどの能力があると企業でも重宝され、900以上となると取得率は3〜4%であり極めて希少な人材とみなされます。

「S&W TEST」

S&W TESTはSpeaking & Writing Testsの略称であり、英語を「話す力」と「書く力」が問われる試験です。受験者の多いL&R TESTと比較すると知名度が低い試験ではありますが、英語を話したり書いたりする力は英語を使って仕事をする上で欠かせないということもあり、スキルアップを目指している社会人におすすめの資格です。

試験内容は英文を音読したり出された質問に英語で返答するスピーキングと、さまざまなシーンを想定したEメールを作成したり、問題に対する自分の意見を英語で記述するライティングの2つに分かれ合計400点で満点となります。

TOEFL

TOEFLとは、Test of English as a Foreign Languageの略称であり英語の非母語話者を対象とした英語のコミュニケーション能力を測る試験です。日本国内では英検やTOEICに比べて認知度が低いTOEFLですが、こちらは全世界で実施されている国際的な検定であり留学する際の入学基準、海外の企業への入社基準としてTOEFLのスコアが採用されるなど国際社会においてとても重要度の高い資格となっています。

日本国内で行われるTOEFLのテストはパソコンを使ったTOEFL iBTテストと呼ばれるもので、受験者は正答率に応じて120点を満点とするスコアがつけられます。国内よりも海外でよく評価されるTOEFLは、留学や海外の企業への就職を目指している人におすすめの試験です。

IELTS

IELTSはInternational English Language Testing Systemの略称であり、英語の熟練度を測る試験です。こちらもTOEFL同様、国内での知名度はあまり高くありませんが、海外の大学や企業では欠かせない資格となっています。海外にある多くの大学や企業での入学試験や入社試験を受ける際、一定以上の英語力があると証明するためにTOEFLやIELTSを用いることが多いため、将来的に海外の大学へ進学したり、就職をしたいと考えている人は優先的に取っておくべき資格といえるでしょう。

IELTSはリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つの技能が問われる問題が出題され、受験者には正答率に応じて9.0を満点とした独自のスコアがつけられます。

観光英語検定

観光英語検定は、観光分野に特化した英語力を測る検定です。この資格は日本を訪れる外国人観光客をもてなすための英語力が要求される場面が増えてきている中、観光業に従事する人や企業を中心に注目を集めてきました。検定は3級から1級まであり、空港やホテル、ショッピングなど具体的な場面を想定した問題が多く出題されます。難易度は英検3級から1級程度で、合格すれば大手旅行会社への就職が有利になるなどのメリットがあります。そのため観光業で働きたい人や、実際に現場で働きながらさらなるスキルアップを目指したいと考えている人におすすめの検定です。

翻訳に関する資格

英語の資格には読み書きやスピーキング能力を測る試験のほか、英語を訳す翻訳の力を問うものもあります。そこでここからは英語を使って翻訳の仕事がしたいと考えているひとにおすすめの試験を2つご紹介します。

JTA公認翻訳専門職資格試験

JTA公認翻訳専門職資格試験は社団法人日本翻訳協会が実施しているもので、業界で最も知名度の高い民間試験です。この試験を受けるに2年以上の実務経験が必要となるなど、それ相当のスキルが要求され試験の難易度はTOEICを超えるともいわれています。また翻訳スキルだけではなくマネジメントやビジネスの能力を問われる問題も多く、幅広い知識や経験が求められる分、この試験に合格すると業界での信頼度が上がるため翻訳を仕事とする場合には欠かせない資格といえるでしょう。

この試験は翻訳文法技能試験、翻訳IT技能試験、翻訳マネジメント技能試験、翻訳専門技能試験の4科目で80%以上の正答率があり、二次試験で翻訳経験2年以上の実績審査を経て合格となります。そんなJTA公認翻訳専門職資格試験は現在翻訳を仕事としていて、さらなるスキルアップを目指している人におすすめの試験です。

JTFほんやく検定

JTFほんやく検定は日本翻訳連盟が実施している検定です。こちらも上記と同様、受験者の翻訳能力を測る試験ですが受験資格に実務経験を必要としないため、翻訳経験のない学生や主婦なども受験にチャレンジすることができます。試験はパソコンを使った記述式で高校卒業程度の基礎レベルが問われる5級、4級と、より実践的な翻訳力を求められる実用レベルの1級、2級、3級に分かれています。そんなJTFほんやく検定は翻訳の実務経験はないけれど将来翻訳の仕事をしてみたい、自分の翻訳能力がどのくらいか知りたいと思っている人におすすめの試験です。

まとめ

今回ご紹介したように英語の資格や試験にはそれぞれ異なった特徴があり、活躍するシーンも実に多様です。そのため今後資格取得を目指す際には、自分が英語をどんな場面で活かしたいかを考えることがとても大切だといえるでしょう。英語学習において試験や検定を受けることはスキルアアップだけではなくモチベーションの維持にも役立ちます。過去問やさまざまな勉強法を参考にしながら、試験合格を目指していきましょう。