enoughは英語圏で頻繁に用いられる重要単語ですが、日本語の日常会話の中で外来語として取り入れられていないのであまり聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれません。

今回はそんな「enough」についての基本的な意味や基本表現、使用時の文法についての注意点を紹介します。

「enough」を使った基本表現

「enough」を使った基本表現

この章では「enough」の基本表現を例文と共に紹介します。

「enough」は形容詞、代名詞、副詞の3つの用法で使われます。

形容詞として用いられるときは、「[うしろに名詞をともなって]じゅうぶんな…、必要なだけの…」「(enough~ for…で)…にじゅうぶんな~(物)」「(enough~to…で)…するのにじゅうぶんな」という意味を持ちます。

代名詞として用いられるときは「じゅうぶん、じゅうぶんな量[数]」という意味を持ちます。

副詞として用いられるときは「[動詞・形容詞・副詞のうしろに置いて]じゅうぶん(に)」「(enough to…で)…するのに必要なだけ」 という意味を持ちます。

また「enough」の発音は少し特殊で「イナフ」と発音し、発音記号は[inʌˈf ]です。
似たような発音をする単語には「笑う」などの意味を持つ「laugh」があります。発音記号は[læˈf ]です。

形容詞の「enough」について

「enough」が形容詞として用いられるとき、次の3つの意味を持ちます。

  1. [うしろに名詞をともなって]じゅうぶんな…、必要なだけの…
  2. (enough~ for…で)…にじゅうぶんな~(物)
  3. (enough~to…で)…するのにじゅうぶんな

例文)

Aさん
We still have enough time.
訳)まだじゅうぶんな時間があるよ。

Aさん
I wonder if there’s enough food for everyone here.
訳)食べ物はここにいる全員の分があるかな

Aさん
I have enough money to buy a cashbox.
訳)私は金庫を買うだけのお金を持っている.
解説)この例文での「enough」の用法は3番です。また、3番の用法の時は「enough」を「sufficient」と言い換えることが可能です。

代名詞の「enough」について

「enough」が代名詞として用いられるときは「じゅうぶん、じゅうぶんな量[数]」という意味を持ちます。

例文)

Aさん
Is that enough or too much?
訳)それでじゅうぶん、それとも多すぎる?

Aさん
That’s enough.
訳)もうじゅうぶんだ、いいかげんにしろ。
解説)人に飲み物を注いでもらう時に「ちょうどいい分量になったらいいって言ってね」という意味で「Say when」と言われることがあります。こう聞かれたときの返答にも「それでけっこうです」という意味で「That’s enough」と答えます。

Aさん
Once is enough.
訳)1度でじゅうぶんだ。

副詞の「enough」について

「enough」が副詞として用いられるとき、次の2つの意味を持ちます。

  1. [動詞・形容詞・副詞のうしろに置いて]じゅうぶん(に)
  2. (enough to…で)…するのに必要なだけ

例文)

Aさん
Did you study enough for the test?
訳)テスト勉強をしっかりやった?

Aさん
The shirt isn’t big enough for me.
訳)このシャツはぼくにはじゅうぶんに大きくない (→少し小さい)。

Aさん
She is not old enough to drive.
訳) 彼女は車を運転できる年齢になっていない。

「enough」を用いる際に文法において注意すべき点について

「enough」を形容詞や副詞として文中に用いるときには様々な注意点があります。
この章では正しい使い方を例文を用いて紹介します。

形容詞「enough」の注意点

Aさん
I have money enough to buy a new car.
訳)私は新車を買うだけのお金を持っている。

上の例文のように名訶のあとに「enough」を置くこともできます。
しかし、名詞の前に置く用法のほうが一般的です。

また、「enough」は「何かに必要な量・程度を満たす」という意味で「じゅうぶんな」ということであって、「たっぷりの」とか「豊富な」という意味はありません。
すなわち、上の例文の「I have enough money(I have money enough)…」は「私はお金をたっぷり持っている」という意味ではなく、「新車を買うのに足りるだけのお金を持っている」という意味になります。

また、形容詞の「enough」は可算名詞の複数形と府可算名詞の両方を修飾することができます。

副詞「enough」の注意点

Aさん
She is not old enough to drive.
訳)彼女は車を運転できる年齢になっていない。
解説)「enough to…」の後ろに動詞が来る場合はその動詞の形は原形になります。

以上のように副詞の「enough」は、修飾する形容詞・副詞・動詞のあとに来ます。
副詞の「enough」は形容詞の「enough」とは違って置く場所を変えることはできません。
すなわち、以下のような文章にはできません。

間違いの例)She is not enough old to drive.

この品詞の「enough」の用法は、並び替えの問題や間違っている部分を指摘するような問題に非常によく出題されるほど間違いやすいです。
間違えないようにしっかりと覚えましょう。

また、「enough to…」と「so … that…」は同じ意味を表すので言い換えることが可能です。
言い換えの例を2つ紹介します。

例文)

Aさん
Mari was kind enough to help me.
Mari was so kind that she helped me.
訳)真理は親切にも私を手伝ってくれた。
解説)「enough to…」を「so … as to…」に書き換える場合には「that」の後に主語を入れることと「enough to…」で原形になっていた動詞をその文章にあった時制に変化させることを忘れないようにしましょう。

例文)

Aさん
You are old enough to tell good from evil.
You are so old that you tell good from evil.
訳)もう君は善悪の区別が分かる年頃だ。

まとめ

今回は「enough」についての基本的な意味や基本表現と使用時の文法についての注意点を紹介しました。

2章で紹介した「enough」を用いる際に文法において注意すべき点はたくさんあって覚えるのが面倒だと思ってしまうかもしれませんが、この単語を使いこなすためには全て覚えることが大切です。しっかりと覚えて「enough」マスターを目指しましょう。

また、「enough」の発音は「イナフ」となり、少し特殊な発音をするということも音読をするときに心がけてくださいね。

参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 (株式会社学研プラス)