英語を学んだ時に、最初に覚えた単語がりんごを英語で「apple」だったという方も多いのではないでしょうか。また、コンピューターやスマートフォンで有名な企業「Apple」が社名としていることからも、世界中で最も広く知られている英単語であるとも言えます。この記事では、「apple」のフォニックスに基づいた正しい発音、よく使われる言い回しやことわざを紹介していきます。

フォニックスに基づいた「apple」を発音するルールとは?

「apple」は、「アップル」や「アッポー」、「アポゥ」という読み方で表記されます。日本語で使われる時は「アップルジュース」や「アップルのスマホ」と発音しますが、英語で発音する場合は「アッポー」または「アポゥ」です。「apple」は、フォニックスを学ぶ時の象徴的な単語と言えます。フォニックスとは、英語を発音する時のルールのことです。

アルファベットの「ABC」は「エ-、ビー、スィ-」と発音しますが、フォニックスのルールでは、「ア、ブ、クッ」となります。アルファベットの綴り字と発音は、必ずしも一致しません。

アメリカやイギリスの子供たちは小学校の時に、フォニックスのルールで発音の仕方を学びます。Aと書かれた単語に身近なくだものであるりんごの絵を見ながら、「エ-、ア、アッポー」と、文字の名前、文字の発音、単語の発音の順に一緒に口に出して発音し、アルファベットと読み方を学んでいきます。

また、英語には文字に表記されていても、発音されない音があります。例えば、Eが最後にある「apple」は、最後のEの音は発音しないというフォニックスのルールにのっとっているのです。したがって、「apple」の「e」は発音しません。「apple」は身近な単語であるとともに、知らず知らずのうちにフォニックスのルールも学べる単語でもあります。

英語でりんごの複数形や冠詞

りんごの英語「apple」は複数形や冠詞を覚えるために便利な単語

「apple」の複数形は、「apples」です。例外がいくつかありますが、まずは、複数形は単語の後ろにsをつけることが基本として学びます。また、英語には「a、an、the」といった冠詞があります。冠詞の役割は、伝えたい名詞を特定するかしないかです。不定冠詞の「a、an」は不特定多数の中の1つを表し、定冠詞の「the」は特定のものを指す時に使います。

さらに、不定冠詞「a、an」には使い分けのルールがあり、母音の文字(a, e, i, o, u)と母音の音声で始まる単語には、名詞の前に「an」がつきます。さらに、定冠詞「the」の表記は変わりませんが、母音で始まる文字や音声では、「ザ」ではなく「ズィ」と発音するのがきまりです。「apple」という単語から、複数形の基本ルールと冠詞の使い分けと発音が一緒に学べるのです。

具体例を1つ挙げておきましょう。「私はりんごが好きです」を英語にしてみます。日本語には冠詞がないため、ぱっと思い浮かぶのが「I like apple.」です。しかし、英語では名詞には冠詞が必要になるので、この文章は間違いです。「apple」は母音で始まる単語なので、「an」をつけなければなりません。したがって、「I like an apple.」となります。しかし、不定冠詞の「a、an」は、1つのものを表す単数形なので、文法的には間違ってはいませんが正解とは言えません。

一般的にりんごが好きであることを伝える場合には、「I like apples.」と複数形にしなければならないのです。このように、「apple」を使った英文で、いくつかの文法のルールを学ぶことができます。

よく使われる「apple」を使った言い回し5選

身近な食べ物であるりんごは、さまざまな言い回しや慣用句で使われています。ここでは、よく読んだり聞いたりする「apple」を使った表現を5つ紹介していきます。

「The apple of my eye」または「The apple of someone’s eye」

直訳すると「私の目の中りんご」または「誰かの目の中のりんご」ですが、意味は「大切なものや人」や「かけがえのないものや人」です。子どもや孫に使われることが多く、「My daughter is the apple of my eye」などと表現し、日本語では「目に入れても痛くない」といったニュアンスです。また、「You are the apple of my eye」と男女関係で言い交わされれば、「あなたはわたしにとって大事な存在です。」となります。

「Adam’s apple」

直訳では「アダムのりんご」ですが、「喉仏」を意味します。旧約聖書に出てくるアダムとイブの話で、アダムが食べてはいけないと言われていた禁断の果実であるりんごを食べて、喉につっかえて欠片が残ったという伝説が由来です。

「Apple-polishing」

直訳の「磨かれているりんご」は、「ごますり」という意味です。ある小学生が先生のお気に入りになりたいがために、つやつやに磨いたりんごを贈ったことが由来とされています。また、「polish the apple」としても使われ、「ご機嫌取りをする」や「ごまをする」といった表現になります。

「rotten apple」

直訳の「腐ったりんご」は、日本語でいうところの「腐ったみかん」です。つまり、「集団の中で悪影響を与えるような厄介者」を指します。英語と日本語では、同じ意味でも異なるくだものを例えているのが興味深いところです。同様の意味で、「bad apple」ともいいます。

「as American as apple-pie」

直訳は「アップルパイのようなアメリカ人」ですが、「典型的なアメリカのこと」や「非常にアメリカ的」という意味です。アップルパイはアメリカを代表する人気のスイーツであるため、考えや発想が極めてアメリカ的であることを指します。また、「mom’s apple pie」は「おふくろの味」という意味です。

英語でりんごを使ったことわざ

知っておきたい「apple」を使ったことわざ4選

英語のことわざにも、りんごを使ったものがいろいろあります。興味深いことに、ことわざの中でりんごは、良い意味でもそうでない意味でも使われているのです。ここでは、知っておきたい有名な「apple」を用いたことわざを4つ紹介していきます。

「An apple a day keeps the doctor away.」

「一日一個のりんごで医者知らず」という意味です。りんごは栄養が豊富に含まれているため、毎日りんごを食べていれば病気にかかりにくいことを表しています。類似のことわざに「Eat an apple going to bed, make the doctor beg his bread.」があり、「寝しなにリンゴを食べて、医者にパンを乞うようにさせなさい。」が直訳です。これも、りんごが健康に良いことを示すことわざとなっています。

「The apple doesn’t fall far from the tree.」

直訳すると「りんごは、木から遠いところには落ちない」です。木が親で、りんごが子どもの比喩です。りんごが木の周りにしか落ちないように、子どもも親から遠く離れないということから、親の遺伝子は、子どもにも受け継がれるという意味になります。つまり、子どもは親の考え方や行動をするものであることを言い表しているのです。

日本のことわざの「蛙の子は蛙」や「親が親なら子も子」であり、誉め言葉としては使われません。しかし、英語では良い意味でも悪い意味でも使うことができます。

「One bad apple spoils the barrel.」

直訳は「1個の腐ったりんごで、樽の中の全てのりんごが腐ってしまう」です。「rotten apple」や「bad apple」と同様に、悪いものが1つでもあると、周囲に悪影響を与えるという意味になります。これらの言い回しを用いて、「It takes one bad apple to spoil the whole barrel.」や「A rotten apple spoils the barrel.」とも使われます。

「The apples on the other side of the wall are the sweetest.」

意味は「塀の向こう側のりんごは一番甘い」です。つまり、他人のものや自分では手に入れられないものほど良いものに思えることを言い表しています。日本のことわざでは、「隣の芝生は青く見える」や「隣の花は赤い」が同じ意味で使われます。

りんごの英語でまつわる言い回しやことわざが使えるようになろう!

「apple」は比喩的に用いられることの多い単語なので、会話やメッセージ、新聞、雑誌などにもよく出てきます。英語独特の言い回しやことわざを知っていれば、英語への理解が深まります。なぜ文脈とまったく関係のない「apple」という単語が突然出てくるのか?と思うこともなくなるでしょう。また、書いたり話したりして使いこなせれば、ワンランク上のこなれた表現ができるようになります。