日常会話で重要な役割を果たす「ありがとう」という感謝の言葉は、外国語を学ぶ際にも初期段階で単語や熟語として覚えるケースが多いです。そして英語における感謝の表現は実は「Thank you」だけではありません。自分の気持ちを正確に相手へ伝えるには、適切な表現方法を身につける事が重要です。そこで本稿では英語における感謝の表現方法を、適切なシーンごとに見ていきましょう。

無難に使える「Thank you」の基本構造と活用

「Thank you」の基本的な構造

英語において感謝の意を伝える表現として最も有名なのは「Thank you」という言い方でしょう。しかしこの「Thank you」という一文の構造をしっかりと理解している人はどのくらい居るでしょうか。そもそも「Thank you」に英語において本来書かれているべき主語が書かれていません。ここでの主語は自分の事を指す「I」になりますが、実はこの「I」は省略されているのです。英語では言わずとも自明である事はあえて書かずに省略する場合があります。

「Thank you」では感謝しているのが自分である事が明らかであるため省略されているのです。「Thank」は「~に感謝する」という意味を持つ他動詞なので、直後には目的語である「you」が来ています。以上の基本的な構造を踏まえた上で、「Thank you」の派生形を見てみましょう。

大きな感謝を示す表現

日本語で感謝を伝える場合でも単に「ありがとう」と言うより「本当にありがとう」というような言い方を用いた方が、相手に対して大きな感謝の念を抱いている事が表現出来ます。英語でこのように大きな謝意を表現する際によく使われるのは「Thank you so much」と「Thank you very much」の2パターンでしょう。この2つの言い回しはともに「Thank you」の後ろに修飾句が付属するタイプであり、和訳としては「本当にありがとう」といった具合になります。

しかし、この2つの言い回しには細かいニュアンスの違いが存在しています。それは「so much」が主観的なイメージを持つのに対して、「very much」という表現はやや客観的なイメージとなる点です。この違いは感謝を伝える相手と自分の距離感に影響してきます。主観的なニュアンスを含む「Thank you so much」は家族や友達など比較的距離感の近い相手に対して使うのが一般的です。

一方「Thank you very much」は相手とある程度の距離感を保っているイメージなので、初対面の相手や目上の人に対して用いるようなやや丁寧な響きになります。この2つの違いを理解しておくだけでも、TPOに応じて感謝の気持ちを伝えられるようになるでしょう。

感謝の対象を表すには

相手に対して感謝の気持ちを伝える際、「~してくれて、~をありがとう」といった具合に「何に対して感謝しているのか」を示したい場面は多いです。特に相手に何かしてもらってからやや時間が経過してから、改めてお礼を伝える場合によくあるでしょう。この場合には「Thank you for~」という言い回しを用いて、「~」の部分に感謝の対象を挿入します。なお、「for」は前置詞なので後ろには名詞(もしくはそれに準ずる名詞句)が来るので覚えておきましょう。

友人や家族など近しい人に向けたカジュアルな「ありがとう」

親しき仲にも礼儀ありという諺にもあるように、家族や友人とのやり取りでも何かしてもらった際にはきちんとお礼を言う事が大切です。その際、変にかしこまった言い回しで感謝の念を伝えるよりも、親しみを込めてカジュアルな表現方法を用いるのが自然なコミュニケーションと言えるでしょう。英語で「ありがとう」をカジュアルに伝える言い方には以下のようなものが挙げられます。

「Thanks」

「Thanks」は他動詞であり直後に目的語を伴うのが一般的ですが、口語表現では単体で使用する事でフランクなニュアンスの「ありがとう」となる慣用的な用法があります。単語一つで感謝を伝えているところからも、砕けた言い回しである事が見て取れるでしょう。和訳としては「あんがと!」や「どうも!」というようなニュアンスになります。

「many thanks」「Thanks a lot」

フランクな間柄でも強い感謝の意を伝えたい場面は多いでしょう。そんな時によく用いられるのが「many thanks」という言い回しです。「thank」には他動詞以外にも名刺としての用法があり、これは感謝という名刺に「たくさんの」という形容詞である「many」が付属した形になっています。同じようなカジュアルな言い回しとして強い感謝の念を表す言い方には「Thanks a lot」があるので併せて覚えておきましょう。

「Thx」「TY」

インターネットが普及してパソコンやスマホを利用する機会が増えた現代社会では、インターネット上のコミュニケーションやメールでのやり取りで「ありがとう」を伝える事も少なく在りません。相手と近しい間柄であればスラング的な用法として「Thanks」の短縮系で「Thx」を用いる事が多いです。同じようなニュアンスで「Thank you」を短縮した「TY」という言い回しを使うのも良いでしょう。

ビジネスなどで役立つ比較的フォーマルな「ありがとう」

感謝している、ありがたいと思っている

ビジネスや社交の場などフォーマルシーンでの言い回しは重要です。自分に悪気がなくとも相手が不快感を感じてしまえばそれは不適切な表現になります。大事な取引先や目上の相手に対して失礼のないように、以下のようなフォーマルで丁寧な「ありがとうございます」という言い方を身につけておきましょう。

「Thank you from the bottom of my heart」

日本ではビジネスシーンで顧客や取引先に対して「心よりお礼申し上げます」という言い回しを用いる場面をよく目にするでしょう。英語でこれにあたる言い回しが「Thank you from the bottom of my heart」となります。「Thank you」を使ったフォーマルな言い回しで代表的な文章なのでしっかりと覚えましょう。

「appreciate~」

「ありがとう」のフォーマルな言い回しには「Thank」以外の単語を用いるケースが多いです。例えば「I appreciate~」という言い回しがその代表的な例となります。「appreciate」は「感謝する、ありがたく思う」という意味の他動詞であり、直後に来るのは目的語です。ただし「Thank」が直後に「人」を目的語として付帯させているのに対して、「appreciate」では基本的に「感謝の対象、行為」を目的語とする点に注意しましょう。例えば「I appreciate your kindness」とする事で「お心遣い感謝致します」といったニュアンスになります。感謝の対象を省略する場合には「I (really) appreciate it」の形が一般的です。

「grateful」

「感謝している、ありがたいと思っている」という意味の形容詞である「grateful」も、フォーマルな感謝の表現としてよく用いられる言い回しです。基本的な使い方はbe動詞と伴って「I am grateful for~」となります。文法的には「I am grateful」だけでも丁寧なニュアンスで感謝の気持ちを表す事が出来ますが、ビジネスシーンでは「for」の後ろに感謝の対象となる事柄を続ける方がより丁寧な言い回しになります。感謝の対象となる事柄をあえて明言しない場合には「I am grateful to you」とするのが良いでしょう。また、感謝の意を示す名詞「gratitude」に派生させた「I am full of gratitude(感謝の念でいっぱいです)」という表現もよく用いられます。

覚えておくとかっこいい「ありがとう」のおしゃれな言い回し

「I owe you one」

「owe(~のおかげだ)」という単語を用いた「I owe you one」という表現方法も感謝を伝える一文です。ニュアンス的には「あなたには貸しが出来ましたね」といった具合になり、ややウィットな雰囲気となります。この言い回しでも「I owe you a lot」などとする事で感謝の度合いを強めた言い方が可能です。

「You are the best」

直訳すると「あなたは最高だ!」となるこの一文も、使いどころによっては感謝の気持ちを伝える用法となります。普段から一緒に過ごす時間が多い相手に対して使うケースがほとんどです。短い文で感謝の気持ちとその大きさを表す事の出来る言い回しと言えるでしょう。

「Cheers」

よく乾杯の合図などで用いられる「Cheers」という単語は、スラング的な用法として感謝の気持ちを表す表現にもなります。主にイギリス英語に見られる言い回しであり、ニュアンス的にはフランクに「ありがとう!」と一言かけるようなイメージです。見知らぬ人に親切にしてもらった時の返しとしてよく見られます。

英語の「ありがとう」は適切な使いどころを見極めよう!

ひとくちに「ありがとう」といってもニュアンスは様々であり、相手と自分の関係性や距離感に応じて適切な言い回しで感謝を伝える事が大切です。特に英語は同じような意味となる言い回しが数多く存在する言語なので、数を覚えて使い分ける努力が必要になります。しかしニュアンスを使いける事は、言語の使い方をマスターする事に大きく近づくステップです。まずは日常会話で頻出の「ありがとう」でニュアンスの理解を深めましょう。