代表的な英語に関する資格である英検には1級から5級までのレベルがあります。もっとも簡単とされているのが5級ですが、その難易度がどれくらいで、合格するためにはどの程度の英語力が必要とされるのかについて詳しく分かっているという方は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、合格を目指している受験者の方のために必要な情報を詳しく紹介します。

英検とは何か?

初めに、そもそも英検とはどのようなものであるのかについて見ておきましょう。英検というのは略称で、実用英語技能検定というのが正式な名称です。公益財団法人日本英語検定協会という団体が運営している英語のスキルを測る試験で、1963年に創設された日本で最古の英語の技能検定試験でもあります。当初は1級から3級までに分かれて実施されていましたが、その後1966年に4級が追加され、さらに1987年に準1級と5級が、1994年に準2級が新設されて現在に至っています。英検1級のレベルは極めて高く、合格していれば就職活動などでも有利になると言われています。
次に、英検の試験内容は一次試験と二次試験に分かれています。このうち、面接形式による二次試験を受ける必要があるのは1級から3級だけで、4級と5級は一次試験だけで合否が決まる仕組みになっています。一次試験は筆記問題とリスニング問題によって構成されており、基本的にはマークシートを使って回答するようになっていますが、1級から3級まではそれに加えて記述方式の英作文問題がある点に注意が必要です。

英検5級の難易度とは?

英検についての概要が理解できたところで、ここからはいよいよ英検5級の難易度について説明していきます。まず、英検の各等級の合格水準については日本英語検定協会のホームページに記載があり、それによると5級は「初歩的な英語の理解と表現」ができる程度で、学校英語の教育水準に照らすと中学初級程度であるとされています。そのため、中学2年生程度の英語の授業に問題なくついていけるくらいになっていれば十分に合格できる力があると考えてよいでしょう。
もっとも、それだけでは具体的にどれくらい英語ができれば合格できるのかイメージが持ちにくいでしょうから、もう少し具体的に見ていきます。英語力の指標となる項目には様々なものがありますが、その中でも重要なものの一つが語彙力です。単語を聞き取れても、何を言っているかが分からないと意味がありませんので、語彙力は英語をマスターするうえで必須のスキルであると言えるでしょう。
この点、英検5級レベルの語彙力は一般に300語から500語程度であるとされています。市販されている中学生向けの単語集に入っている英単語が1,500から1,700語程度であるのと比べると、その3分の1くらいをマスターしておけば十分であることが分かるでしょう。具体的には、英検5級で頻出の英単語は、make(作る)、write(書く)、shirt(ワイシャツ)、letter(手紙)、week(週)、hot(暑い)、cute(かわいい)、radio(ラジオ)、magazine(雑誌)、easy(簡単な)などです。いずれも英語学習の最初の方で出てくるものばかりです。

英検5級合格に必要な英語力とは?

ここからは、英検5級に合格するためにどの程度の英語力が必要になるのかを、実際に出題される問題の形式を踏まえて、少し掘り下げて見ていきます。なお、語彙力については既に説明しましたので、主にリーディングとリスニングについて何が求められるかを紹介することにします。まず、リーディングは、短文の空所補充問題15問、会話の空所補充問題5問、日本文付き短文の語句整序問題5問によって構成されています。回答形式は4つの選択肢から1つを選ぶようになっていますので、自分で補充する単語を考える必要はありません。英文法についての基本的な知識と前述の語彙力が備わっていれば十分に回答できる水準であると言えるでしょう。
例えば、短文の空所補充問題として出題されるのは、「My brother signs very」という文章が示されたうえで、large、well、big、upの4つのうちから空欄に入る1つを選ぶような問題です。文章の意味は「私の兄(または弟)はとても・・・にサインする」ですので、空欄には「上手に」を表すwellを入れるのが適切であるということになります。中学1年生くらいでも十分に回答できますし、少し英語を学んでいれば小学生の中にも回答できる子供はいるでしょう。空欄補充問題には、単語以外に熟語を補充するタイプのものもありますので、単語に加えて基本的な熟語の意味についても頭に入れておく必要があります。
次に、リスニングは、会話の応答文選択10問、会話の内容一致選択5問、イラストの内容一致選択10問によって構成されています。会話の内容一致選択は4択問題ですが、それ以外は3択ですので、完璧に聞き取りができなくても、ある程度聞き取れれば回答できるはずです。例えば、会話の内容一致選択として出題されるのは、

Aさん

Sherry, let’s play tennis on Saturday.
シェリー、土曜日にテニスをしよう

Bさん

Sorry, I can’t. I have violin lessons on Saturdays.
ごめんなさい、できないの。土曜日にはバイオリンのレッスンがあるから。

という2人の会話の後で、

Question

What lesson does Sherry have on Saturdays?
土曜日にシェリーは何のレッスンを受けますか?

正解は選択肢の中から「violin」を選べばよいということになります。すべてを聞き取れなくても「violin lesson」だけ分かればある程度回答が絞り込めますので、そこまで難しく考えなくても大丈夫です。

英検5級の合格スコアは?

続いて、英検5級に合格するためにどのくらいのスコアが必要になるのかを見ておきます。出題される問題がそれほど難しくないとはいっても、万点近く取らないと合格できないのか、6割程度で合格できるのかといった点で考えると、試験そのものの難易度が大きく異なってくるため、合格水準を知っておくというのは合格に向けて非常に重要なのです。この点、英検協会のホームページによると、英検5級の合格のためには、419点以上のCSEスコアが必要であるとされています。このCSEスコアというのは、合格者全体の正答率を踏まえて、英検協会が独自のフォーミュラで算出している点数ですので、419点が必要と言われても、どれくらい正答できればよいのか直ちには分かりません。
もっとも、過去のデータを用いれば、CSEスコアを参考にして、合格に必要な正答率について、ある程度推測することは可能です。具体的には、正答率が60パーセント超であれば合格できると考えておけばよいでしょう。なお、リーディングとリスニングを比べると、全体的にリーディングの方が難易度が高めになっていますので、できればリスニングは80パーセントくらいの正答率を目指すのがおすすめです。そうすればリーディングの正答率が40パーセント台でも十分に合格できるはずです。

英検5級に向けた勉強法とは?

最後に英検5級に合格するための勉強法について触れておきます。英検5級は中学校初級程度の難易度ですので、すでに中学2年生以上で学校の英語の勉強を苦に感じていないような人であれば、問題形式に慣れるくらいで十分に合格水準に達することができます。書店などで過去問を収録した問題集が販売されていますので、それを使って10時間程度準備をすれば大丈夫でしょう。一方、まだ英語学習をはじめて間もないという場合には、専用の問題集を使って対策を行うのがおすすめです。どうやればよいか分からなければ、英会話教室などで対策コースを設けていますので、そういったものを受講するのも一つの方法です。

英検5級は英語学習の登竜門

以上で見てきたように、英検5級は決して難易度の高い試験ではなく、あくまでも英語の登竜門的な位置づけとなっています。もっとも、合格することで自分の英語力に自信を持てるようになりますし、4級以上の合格を目指すインセンティブにもつながりますので、英語をはじめて間もない方はまず5級合格に向けて取り組むとよいでしょう。