「英語で何て言う?」コーナー、今回は「discuss」についてです。
「ディスカッション」という名詞形がカタカナ語でよく使われているので、よく知っているという方も多いでしょう。
おなじみの単語ですが、一方で日本人が間違えやすい使い方をしてしまうことでも有名です。一体どういう間違いなのでしょうか?
今日は、そんな注意点も含めて、「discuss」について解説します。

「discuss」の基本的な意味について

「discuss」は動詞で、「(いろいろな観点から)…を話し合う、…を議論する」という意味です。

Aさん
We’ll discuss the matter at the next meeting.
訳)その問題については次回話し合います。


Aさん
We discussed the matter all night.
訳)私たちは一晩中そのことを議論しました。

名詞は「discussion」で、「話し合い、議論」という意味です。

Aさん
I joined in the discussion.
訳)私はその話し合いに加わりました。


Aさん
The discussion lasted (for) three hours.
訳)議論は3時間続きました。

「discuss」は他動詞なので、直後に目的語がきます。
なんとなく後に前置詞がきそうな感じなので、「discuss about〜」と続けてしまいそうなのですが、これは日本人がよくやりがちな間違いと言われています。

Aさん
(◯)Let’s discuss it tomorrow.
(✖️)Let’s discuss about it tomorrow.
訳)それは明日話し合いましょう。

名詞の「discussion」を使うときは、例文のように、後に「about」などの前置詞が必要になります。

Aさん
We had a class discussion about bullying.
訳)いじめについてクラスで話し合いました。

「discuss」からは少し離れますが、ここで「自動詞」と「他動詞」について確認しておきましょう。

「自動詞」・「他動詞」についておさらい

動詞には2種類あります。
ひとつは、「is、am、 are」などのbe動詞や「walk」のように、後に目的語がいらない動詞です。これが「自動詞」です。

Aさん
The earth is round.
訳)地球は丸いです。


Aさん
I walk fast.I walk fast.
訳)私は速く歩きます。

もうひとつは、「make」のように後に目的語が必要な動詞です。これが「他動詞」です。

Aさん
My mother made me a new dress.
訳)母は私に新しいドレスをつくってくれました。

多くの動詞は「play」のように、後に目的語がくるときと、こないときとがあります。
自動詞でも他動詞でも使えます。

Aさん
They are playing in the yard.
訳)彼らは庭で遊んでいます。(自動詞)


Aさん
Let’s play tennis.
訳)テニスをしましょう。(他動詞)

「discuss」には他動詞しかないため、すぐ後ろに目的語がくるのです。
では、「discuss」と似たような意味の単語についても、使い方を紹介しましょう。

「discuss」・「talk」・「argue」・「debate」の違いについて

「discuss」は、一般的に、日常会話というよりも、割と真面目な問題について人とよく話し合うという状況のときに使われます。
カタカナ語の「ディスカッション」も、日常会話ではあまり使わず、ビジネスや教育現場など改まった場面で使うことが多いですね。
一方、「talk」は日常的によく使う言葉です。自動詞なので「talk about〜」のように前置詞を伴います。「discuss」と同じように「…について話し合う」という意味がありますが、どちらかというと「うちとけて話し合う」という感じです。「talk」には「discuss」のような「議論する」という意味はありません。
次の例文で、それぞれの意味を考えてみましょう。

Aさん
Let’s discuss it tomorrow.
Let’s talk about it tomorrow.
訳)それは明日話し合いましょう。

「discuss」を使うと、みんなで意見を出し合って結論を出すようなイメージです。
一方、「talk about」は「話す」ことに重点が置かれているので、結果を出そうという「discuss」よりはっきりしておらず、「とにかく話そう」という感じです。
ちなみに、「talk over…」 を使うと、「talk about…」よりも「時間をかけてじっくり話し合う」という意味になります。

Aさん
We talked over the plan.
訳)私たちはその計画について(じっくり)話し合いました。

「argue」は「議論する」という意味もありますが、単に話し合うのではなく、相手を説得したり、「言い争う、口げんかをする」という感じが強いです。自動詞も他動詞もあります。

Aさん
I sometimes argue with Dad.
訳)私はときどき父と口げんかになります。


Aさん
She argued that he should carry out the plan.
訳)彼がその計画を実行するべきだと彼女は主張しました。

「debate」は「…を討議する、討論する」という意味で、自動詞も他動詞もある動詞です。名詞では「討論、ディベート、討論会」という意味があります。
ディベートとは、あるテーマについて賛成・反対のグループに分かれて論じ合うことです。一般的に「debate」というと、このように2つに分かれて討論をするというイメージです。ちなみに、今年はアメリカの大統領選挙の年なので、共和党と民主党の公開討論会(Presidential Election Debates)が行われます。
さて、ほかの単語と比べて「discuss」のイメージが掴めたでしょうか?
それぞれの意味をまとめると:

  • 「discuss」…いろいろな観点から話し合う、議論する
  • 「talk」…話し合う(「talk」には議論するという意味はありません)
  • 「argue」…相手を説得しようと言い争う、口げんかをする
  • 「debate」…2つに分かれて討論をする

となります。
では最後に、「discuss」と「discussion」を使った英語文をいくつかご紹介します。

「discuss」を使った基本表現について

いろいろな観点から話し合い、議論している様子を思い浮かべながら、例文を読んでみてください。

Aさん
We discussed our uniform.
訳)私たちは制服について討議しました。


Aさん
We don’t have enough information to discuss the problem.
訳)その問題について論じるには情報が足りません。


Aさん
We discussed bullying in the class meeting.
訳)学級会でいじめについて話し合いました。


Aさん
You should discuss it openly with your parents.
訳)そのことは両親と率直に話し合ったほうがいいです。


Aさん
There’s still room for discussion.
訳)まだ話し合いの余地は残っています。

まとめ

今日覚えていただきたいことは、「discuss」は他動詞で、後ろにすぐ目的語をとるということです。
聞き慣れた「talk about…」につられて、「discuss about…」としてしまいそうになるので、注意ですね。
それでは、次回をお楽しみに!
参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 (株式会社学研プラス)