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海外の語学学校に実際に通っている日本人の、語学学校体験レポートその3です。

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アメリカの大学生の様子

私は現在、アメリカのアリゾナ州にある大学の語学学校に通いながら、ビジネスの授業も受講しています。語学学校では英語を母国語にしない様々な国の学生と一緒に学んでいますが、ビジネスの授業では完全にアメリカ人に囲まれて勉強しています。

私は大学が定めた語学学校での成績を収めたので、カレッジプログラムと呼ばれる一般的な授業(私はビジネスのクラス)を受講することが許されています。しかし「語学学校」と「一般的な授業」には私の想像を超える大きな違いがありました。

語学学校では、英語を理解しようとするためみんな必死です。授業中の質問や積極的な参加姿勢などはそれを象徴しているでしょう。対して、アメリカの一般的な授業ではみんなとてもリラックスしています。ひとことで言えば緊張感の違いということになるでしょうか。

語学学校では寝ている学生は皆無ですが、一般の授業では寝ていたり、携帯電話を使っていたり様々です。日本もアメリカも同様で、やる気がある学生は前の席に座り、居眠りする学生は後ろに座ります。このように学生のタイプは万国共通のようです。

アメリカの大学生のタイプ

私の経験では、アメリカにおいて学生のタイプは大きく分けて2つあると思います。「目的が明確でやる気に満ちているタイプ」「とりあえず参加しているタイプ」です。

1つ目の「目的が明確でやる気に満ちているタイプ」は、自分の人生のゴールや資格を取得するための目標設定がすでに定まっている人で、目標を達成するために授業やテストは真剣そのものです。

2つ目の「とりあえず参加しているタイプ」は、学ぶことがどこか他人事のような人です。色々と話をしていくなかで分かったことなのですが、私が通っている大学では、学費や生活費を免除または支援してもらえるシステムを利用している人が多いのです。不法にアメリカに入国した両親に連れてこられた、あるいはアメリカで生まれ、そのままアメリカで育った子たちには市民権が与えられ、一定の条件で生活費や学費が優遇されるシステムがあるのです。これがいま話題になっている「DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)」です。

先生の話では、この制度を利用して学ぶ学生のなかで、すべての学生ではないもののDACAに該当する学生は授業に消極的な傾向があるという話をしていました。ちなみに、私のクラスメイトにもDACAに該当する人がいますが、将来は看護師になるために英語を勉強し、専門知識を身につけたいと意欲に満ちています。

日本にもやる気がある学生、ない学生それぞれいますが、アメリカではこのような政治的、文化的な背景が絡んだ学生のタイプが存在することも確かです。私にとっては移民問題や教育問題を考える良いきっかけになっています。

大学の雰囲気

私の個人的な印象では、どの学生も非常に友好的です。アメリカ人でもシャイな人はいますが、口を開けば明るく、冗談も言い合える人ばかりです。明るい人が多いため、必然的に授業も明るくなり、盛り上がります。授業中でも常に学生の誰かが先生と話をしている印象です。日本のように1時間から1時間半、先生の話をただ聞き続けるという苦痛とも思える時間はありません。

印象的だったことがあります。先日、私が受講しているビジネスのクラスでテストがありました。50問の選択問題だったのですが、答え合わせをした後に先生が「チャレンジする人いますか?」と声をかけ、採点に納得いかないものや、問題や回答が明確でないものに対する「苦情」を受け付けると言うのです。

このテストでは50問のうちいくつかに、あいまいな回答(選択肢)があり、学生のなかで意見がわかれました。先生はこの問題について学生同士で議論させ、結局全員に正解を与えてくれました。さらに、どうしても採点に納得いかない問題に抗議した学生に同意するか、しないかの多数決が行われ、結果的に全員が正解を得るということも起こりました。

先生は明言こそしていませんが、このようにして学生を試したのだと思います。採点に納得いかないことに抗議するほど真剣かどうか、さらに納得できないことに声をあげられるかどうか。終始黙っていた私はこの一件を受けて、アメリカ人の学生の積極性にただ驚くしかありませんでした。

声をあげやすい雰囲気や、学生同士でそれを支持しようとする、あるいは反対する雰囲気が普段の授業が満ちていることはとても新鮮でした。どことなく日本に存在する、目立つ存在を冷ややかな目で見るということは皆無で、どんな声に対してもサポーターがいるのです。

目標・志し

私のクラスメイトには様々な目標を持っている人がいます。ビジネスのクラスでは、将来ファッションに関する事業を起こしたいから学んでいるという人や、父親が成功している小売業を継ぐために仕方なく勉強しているという人もいます。さらには、現在の事業で昇進に役立つからと働きながら学ぶ主婦の人もいて、目標は様々です。

多くのクラスメイトは目標を持っているものの、自分の将来がどうなるかわからないという人も多いのが事実です。いま考えていることや、いま目標としていることが正しいかどうかが分からないと言うのです。この点は、アメリカ人でも日本人でも同じだと思います。

個人的に衝撃を受けたエピソードとして、元アメリカ陸軍だった30代の男性が、2013年に約1年間アフガニスタンに派遣され、子どもの成長を間近で見られないからと軍を辞めて、起業するためにビジネスを基礎から学び直しているという話があります。

アメリカではミリタリーと呼ばれる軍関連の人たちはあらゆる場面で優遇されます。身近なところでは、スーパーマーケットやコーヒーショップでミリタリー割引があるほど。加えて、医療費補償、税金の優遇、老後の社会保障も充実しているため、ミリタリーに長年いればアメリカでの生活に困ることはないと言う人もいるほどです。

私のクラスメイトはそんな恵まれた環境を捨ててまで家族を大切にし、学び直す決断をしたことからクラスのなかでも中心的な存在になっています。人生はまだ手探りの状態だという彼の学ぶことへの姿勢は、クラスメイトにも良い影響を与えているように思えます。彼は冗談半分で、ミリタリーは勉強が苦手だから凄く苦労するんだよと語ってくれました。

日本人学生との違い

私はアメリカ人の学生と日本人の学生の違いについて、いくつかの大きな違いがあると感じています。

積極性

はじめに「積極性」は最も大きく違う点ではないでしょうか。日本人でも学ぶことへの姿勢は強いでしょうが、アメリカ人の学生は何に対しても積極的です。授業中の発言や不明点への追求する姿勢は、日本と比較して大きく違います。あらゆる物事に対する関心が強いとも言えるでしょう。

ビジネスのクラスで、私が日本人だと分かった瞬間に「トヨタとホンダ」の話になり「スシの作り方」の話になりました。積極的と言うべきか、社交的と言うべきか迷いますが、誰とでも怖じ気づくことなく話ができて、話題が豊富なアメリカ人たちは、わずかな立ち話からでも話が大きく広がっていきます。さらに驚くべきことは、どの年齢においても積極的だということ。若い人だけが積極的というわけではないのです。

このような積極的な姿勢について、クラスメイトの見解では、どんな話題でも話が広がるのは子どもの頃からディスカッションを繰り返してきているから、これが自然だということです。学生に限らずおしゃべり好きな文化はこういう所からきているのかもしれません。

要点をまとめる力

2つ目に違う点としては「要点をまとめる力」です。アメリカの学生が、要点をまとめる力に優れている根拠として、授業内容をリアルタイムでノートにまとめられることがあります。

私が受講しているビジネスのクラスでは、基本的には先生はホワイトボードに何かを書いたりしません。プロジェクターを使うこともありません。先生は自分の椅子に座って、教科書に沿って話をするだけです。しかし、このようなクラスであっても、授業の終わりにはクラスメイトのノートはびっしり文字が書き込まれています。

ノートの取り方は人それぞれですが、多くの学生は共通して「Cornell Notetaking Method」という方式を使っています。ノートを3分割にしてトピック、詳細、まとめに分け、それぞれ書き込んでいきます。記号や省略語を使ってまとめている学生が多く、しっかり要点をまとめて書いている人ばかりです。

日本では、先生が黒板に書いたことをノートに書くことがほとんどですが、アメリカでは先生が話していることをうまくまとめられる人が多く、このことはノートに書くだけでなく、会話でも要点をまとめたり、話の核心を抑えるのに有効なようです。

基礎学力

アメリカ人の学生の方が優れている点もありますが、日本人の方が優れている点もあります。私がいつも感じることに「基礎学力」があります。

以前、ビジネスのクラスで先生が計算をする時に「10,000の5%は?」という質問をしました。すると学生は「1,000」だとか「100」だとか、はたまた「700」という人もいました。挙げ句の果てに先生までも間違えて「1,000」で話を続けてしまったのです。さすがに私が訂正をしてその場は収拾がつきました。

さらに、テストの採点でも問題が起こりました。1問2点の問題を50問、つまり100点満点のテストにおいて学生同士で採点させたところ、ある学生の点数が「77点」だったというのです。偶数の点数にしかならないはずが、奇数の点数になるということが起こりました。このような単純な計算のミスは日本人の大学生では、ほぼあり得ないだろうと思い、少し衝撃を受けました。日本人は問題を解くということになれているので、基礎学力は高いのです。

勤勉

そして、日本人の方が優れている点は「勤勉」なことでしょう。日本人の学生は授業中の態度も、学校以外での勉強も、そしてテストの成績も上々です。これまで私が接してきた先生からも日本人の評価は格別高く、クラスのプロジェクトで学生に何かを任されるときはほぼ日本人に話が回ってきます。

褒められた事例ではありませんが、宿題やテスト前などはクラスメイトはこぞって日本人の学生を頼ってきます。実際に私も宿題を見せてあげたりすることは頻繁にありました。それだけ日本人は周りの人たちから、真面目で勤勉と評価されているのだと思います。

最後に

私はアメリカで学びながら、アメリカ人の学生からは積極性と論理的思考を吸収できればと思い、日々彼らと接しています。彼らのこの能力は本当に素晴らしいと思います。

とくに私は消極的な性格で、英語もつたないことから、言いたいことを言えなかったり、はっきりした態度を示せません。しかし、彼らと学ぶなかで、私のような態度は「浮いた」存在になってしまいます。

さらに私のような消極的な人間は、周囲と自然に距離ができてしまい孤立してしまいがちです。このような経験をしたからこそ、彼らの積極的な姿勢と、瞬発的に物事を論理的に考える力を付ける必要があると感じました。

アメリカ人の学生には日本人が持っていない部分があり、反対に、日本人はアメリカ人が持っていないものを持っています。私は、双方の良いところと悪いところを肌で感じながら「知る」ということが非常に大切なことだと考えています。そのため、色々なタイプのアメリカ人の学生と接して、自分を磨くようにしています。