外国の方に日本語について説明するときに便利な話題をいくつかご紹介しましょう。

3種類の文字がある日本語にびっくり!

私たちは普段何の疑問もなく、漢字・ひらがな・カタカナの3種類を使い分けています。これって、よく考えたらすごいことですよね。
こんな話があります。

ある日本人の女の子が、フランス語を勉強しようとカナダの学校で学ぶことにしました。そこで、彼女は欧米の子たちから机を蹴られたり、ちょっとした意地悪というか、いじめのようなことをされたそうです。クラスメートともなかなか馴染めない日が続きました。
ある日、自分の国を紹介する授業があり、彼女は日本語について説明しました。

Aさん

「日本語には、漢字・ひらがな・カタカナの3種類の文字があり、日本人はこれを自由自在に使いこなしています。」

この事実に、意地悪をしていたクラスメートたちが、

Bさん

「すごい!」

と驚き、感動したらしいです。英語で言うと、まさに「Oh,my God!」。
このことがきっかけとなり、彼女は意地悪されることもなくなって、クラスメートとも仲良くなり、楽しい留学生活を送ることができたということです。
日本語には3種類の文字がある。当たり前だと思っていたことが、急にすごいことに思えてきませんか?

Aさん

「Japanese is written in three styles of letter: kanji, hiragana, katakana.」
(日本語は、漢字、ひらがな、カタカナの3種類の文字で書き表せます。)

ちなみに、上の例文のように「文字」は「letter」ですが、「漢字」は「Chinese character」といい、「letter」ではなく「character」を使います。
「文字」が「character」と訳される場合は、漢字などの表意文字のときで、音のみを現わす表音文字のときは概して「letter」と訳されるようです。
では、それぞれの文字について詳しくみていきましょう!

漢字 (kanji, Chinese character) について

Aさん

「They were made in ancient China. Each of them has its own meaning.」
(漢字は古代中国でつくられました。それぞれの文字に意味があります。)

「文字に意味がある」ということは、英語圏の方にとっては面白いものかもしれませんね。「mountain」→「山」、「tree」→「木」というように絵のように描いて説明すると興味を持ってもらえそうですね。

ひらがなとカタカナ (hiragana and katakana) について

そもそも漢字は中国から伝わり、それぞれの漢字の意味が日本語と照らし合わされて根付いていきました。ただそれでは、日本にしかない固有名詞などは漢字を使って表わすことができませんでした。そのために使われたのが、借字(万葉仮名)といわれています。意味はなく、音のみを表わす漢字でした。
しかし、その漢字は画数が多く使いづらいので、次第に「安(借字)→あ(ひらがな)」、「伊(借字)→イ(カタカナ)」のように省略されるようになりました。そうこうして、8〜9世紀には、ひらがな、カタカナが成立していたと考えられています。
ひらがなは借字から省略が進み、平安時代にはとくに女性が使うものとして、また私的な手紙や和歌に用いられ、体系化されていきます。カタカナは、奈良の学僧たちの間で、漢文を読むために訓点として借字の一部を簡略化して記したものに始まると言われています。

Aさん

「They were created in Japan. Each of them represents sounds only.」
(ひらがな、カタカナは日本で考え出されました。それぞれの文字は、音のみを表します。)

ちなみに、漢字が伝わる以前に、日本に文字があったという証拠は今のところないようです。
ところで、なぜ日本語には3種類の文字が必要だったのでしょうか?
例えば、有名な早口言葉の「すもももももももものうち」、「ははははははとわらう」などの文章は、「李も桃も桃のうち」、「母はハハハと笑う」と文字の種類をかえることによって、格段に読みやすくなります。
つまり、日本語は英語のように単語と単語の間にスペースが入らないため、1種類の文字だと単語どうしの関わり方がわかりづらくなるのです。スペースがない代わりに、文字そのものをチェンジすることによって、わかりやすくしていると言えます。日本語を勉強している外国の方は、慣れるまで単語の区切りがわかりづらく感じるかもしれませんね。

外国人の名前を日本語で考えてみよう!

日本への旅行ブームが続く昨今ですが、2017年1月〜10月の訪日外国人数は、約2400万人。そのうち、オーストラリア、アメリカ、カナダ、イギリスからの観光客は約206万人です。日本文化への関心も高まっているところで、日本語をアピールする機会も多くあることでしょう。
外国の方の名前を漢字の当て字で変換して、その字の意味を教えてあげながら書道のパフォーマンスをする施設や、名前を入力すると漢字に変換してくれるアプリなども出てきています。
外国人の名前を漢字にする時には、なるべく意味の良いものを選んであげると良いでしょう。「美(beauty)」「風(wind)」「道(road)」などは、はらいが面白く、喜ばれる字のようです。美や自然に関係のある漢字は、日本人から見ても綺麗ですよね。
それでは、アメリカで長年人気が高く、上位にランキングしている女の子の名前で例文を見てみましょう。

Aさん

「”Emma” can be spelled like this in  Japanese.「笑」It means “smile”, 「真」It means “truth”」
(エマは、日本語では、こんなふうになります。(字を示しながら)「笑」は笑顔、「真」は真実という意味です。)

ちなみに、過去アメリカで人気だった名前をご紹介しましょう。素敵な漢字を当てはめてみてください。意外と難しいですよ!

女の子

Sophia
ソフィア

Emma
エマ

Olivia
オリビア

男の子

Jackson
ジャクソン

Aiden
エイデン

Lucas
ルーカス

例えば…
sophiaはギリシア語で知恵を意味するので、

知恵
「It means “wisdom”. It’s  one of the Japanese popular names.」
(知恵という意味です。日本ではよく見る名前です。)

絵馬
「”Emma” means  a votive picture tablet.(generally with the picture of a horse on it.)」
(奉納のための絵が書かれた板です(ふつう、馬の絵が描いてあります。)

織美愛
「”織” means  weave,”美” means beauty, “愛” means love.」
(それぞれ、織ること、美しさ、愛を表わします。)

若尊
「”若” means  young,”尊” means precious.」
(それぞれ、若さ、尊さという意味です。)

少し大げさに…

愛伝
「It means “express your love”.」
(あなたの愛を伝えなさいということです。)

流有華寿
「”流有華寿” means “Your life flows brilliantly and happily”.」
(人生が華やかに、幸せに流れますようにという意味です。)

というところでしょうか。
何だか、日本のキラキラネームと通じるものを感じますね。

まとめ

外国の方に日本語をアートとして感じて、喜んでもらえたら嬉しいですよね。今は漢字がダントツで人気ですが、そのうちひらがなやカタカナも楽しんでもらえる日が来るかも…。
それでは、次回をお楽しみに!

引用文献:アンカー大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 株式会社学研プラス