日本の英会話教室はフィリピン人の先生が多いです。また、留学費用が安く、英語も学べるのでフィリピンは日本人学生に人気の留学先となっています。

しかし、フィリピン英語は訛りが強くて、アメリカ英語とは発音がかけ離れており、英会話を習う際にフィリピン人の先生はあまり勉強にならないという声もあります。

そこでここでは、フィリピン英語とアメリカ・日本の英語との違いや、それぞれの特徴などについて分析していきます。

英語の訛り、そもそも存在する?

いろんな国籍の方々が会話している

日本には、関西弁や博多弁、名古屋弁などさまざまな方言が存在します。これは日本に限った話ではなく、多くの国には方言・訛りがあり、地域によって発音が異なったり、一つのものや動作に対してそもそも全く違う単語をあてがっていたりします。

日本だといわゆる東京弁が標準語にあたるでしょう。英語では、カリフォルニア辺りで話されている西海岸英語が標準語であり、ニュースなどでも用いられています。

また、標準語以外には音がこもっていて聞き取りが難しいと言われる南部英語や、一つ一つの音をはっきり発音する東海岸英語などが挙げられ、同じアメリカ英語でも、地域によって発音や話し方に大きな違いがあります。

日本、アメリカ、フィリピンの英語の違い

それでは、日本・アメリカ・フィリピンの英語にはそれぞれどんな違いがあるのでしょうか。違いに着目して英会話の勉強をしてみましょう。

日本人の話す英語

日本人の話す英語は、「カタカナ英語」とよく言われます。その理由としては、日本語の音の少なさが挙げられるでしょう。日本語の母音は「ア・イ・ウ・エ・オ」の5つです。それに対して英語の母音は「æ(アとエの中間音)」など、日本語では使わない音が出てきます。

子音に関しても同様です。それ故に、音の違いが理解できず、ə・æ・aなどの音をすべて「ア」と発音してしまい、海外の人に伝わらないのです。

また、英語は大きく口や舌を動かして発音するのに対し、日本語はあまり口も舌も動かさずに発音できます。そのため、第一言語が日本語である人からすると、英語は口や舌の動かし方が理解しにくいという難点もあります。しかも日本後は抑揚が少ないです。

そのため、英語でも抑揚がなく、単調で何を強調したいのかわからないと言われることもあります。

加えて、日本の学校の英語教育は読み書きに重点を置いており、リスニングやスピーキングはおろそかになってしまいがちです。この教育システムが原因で正しい発音ができない学校の英語の先生もおり、先生が話す英語がカタカナ英語であるせいで幼少期からカタカナ英語が定着してしまっている人も多くいます。

仕事のメールで英語をたくさん使っているのに、英会話となるとまったく英語が伝わらないということも少なくありません。

アメリカ人が話すの英語

アメリカ人の話す英語は、リズムを重視した話し方が特徴です。アメリカ英語にしか無い特徴としては、複数の音を繋げる「リンキング」や、アルファベットの並びに応じて発音が変わる「フラッピング」などが有名です。リンキングの例を挙げると、”keep out”という単語があったとします。

日本語だと「キープアウト」ですが、アメリカ英語だと「キーパウト」と音を繋げて発音します。また、フラッピングの例だと”water”が有名です。日本語だと「ウォーター」ですが、アメリカ英語だとtを飛ばして「ワーダー」のように読みます。

英語はイギリス英語とアメリカ英語に分けられることが多いですが、日本の学校で学ぶ英語はイギリス英語に近いです。日本の英語教育の歴史は少し特殊で、第二次世界大戦前はイギリス英語を教えていました。

しかし、敗戦後アメリカの支配下となったことで、英語教育もアメリカ英語に変わります。これによって、英語の授業で教える文法や単語はアメリカ英語ではあるものの、発音に関してはイギリス英語に近い状態となり、現在でもアメリカ英語とイギリス英語が混ざった教育を行っているのが現状です。

イギリス英語は「クリーンイングリッシュ」と呼ばれており、一つ一つの音をはっきり発音する特徴があります。そのため、イギリス英語にはリンキングやフラッピングの概念が存在しません。これも日本人がアメリカ英語の聞き取りを苦手とする理由と言えるでしょう。

フィリピン人が話す英語

フィリピン人が話す英語は、公用語であるタガログ語が少し混ざっており、これがフィリピン人の英語が聞き取りにくいと言われる理由でしょう。フィリピンでは「f」の音が「p」に近い音になったり、「b」の発音が「v」になったりすることがあります。これさえ理解していれば実はフィリピン英語は問題なく理解できることが多いです。

アメリカ英語、フィリピン英語の特徴

グローバル社会で必要とされる英語力

それでは、アメリカ英語・フィリピン英語はそれぞれどんな特徴があるのでしょうか。英語を学習するにあたってはそれぞれの違いも理解しておきましょう。

アメリカの英語は正しい?

アメリカは先ほど解説したとおり、地域によって訛りが存在します。それに加え、アメリカは多人種国であり、英語を勉強してアメリカ以外の国から移住して来る人も多いです。そのため、様々な国・地域の英語が混ざり合っていて、アメリカに住んでいる人が話す英語をすべて「アメリカ英語」としても、かなりの差が出てしまいます。よって、アメリカ英語の発音が必ずしも正しいとは一概には言えないでしょう。

フィリピンの英語って勉強にならない?

英会話を学ぶ際、フィリピン人の先生は避けるべきという声もありますが、実際はどうなのでしょうか。フィリピンの英語教育の実情について学んでいきましょう。

フィリピンは英語社会

フィリピンは1987年までアメリカの支配下にあり、これまでは公用語として英語が設定されていました。その背景としては、フィリピンは7,000以上の島国で構成されており、公用語としてタガログ語が存在しているものの、100以上のローカル言語が存在しており、アメリカ統治下の状態ですべてのローカル言語を理解するのが難しいという問題があったためでした。

アメリカの統治下を抜けた現在でもフィリピンは国語など一部を覗いた授業を英語で行っており、フィリピン人は小学校から英語を学びます。アメリカの統治下を抜けてからまだ日が浅いので、家庭によっては家族での会話が英語ということも多いです。また、基本的に道路標識やビジネスメールなども英語を使います。このようにフィリピンは英語社会であり、英語レベルは世界でもトップクラスと言われています。

フィリピン人英語の特徴

フィリピン人の英語は先ほど解説したように、タガログ語が少し混ざった「タグリッシュ」が特徴です。基本的にアメリカ基準の英語教育が行われてきたので、アメリカ英語との違いはそれほど大きくありません。しかし、タガログ語だと、「行く」と「来る」という概念が無く、一つの単語で統一されているなどという違いがあり、この点に注意さえすればそれほど気にすることは無いでしょう。

英語勉強に重要なのは先生の英語理解度

英語学習に大切なのは、訛りよりも先生がどれだけ英語を理解しているかという点です。英語を話せても、英語の仕組みをよく理解していない先生だと、いくら教えられても理解できないでしょう。フィリピン人の先生の場合、英語は第二言語なので、英語を学ぶ大変さを理解している人が多いという特徴があります。

そのため、特に英語の文法や単語を理解するところからスタートしたいと思っている人にはおすすめです。多くの英会話スクールでは体験ができるので、アメリカ人かフィリピン人かなど人種に関係なく、わかりやすく教えてくれる先生かどうかに着目してスクールを決めてください。

フィリピン訛りでも関係ない大切なのは講師の教え方

ビジネスで英語を使う場合、様々な国の人の英語を理解してコミュニケーションを取る必要があります。そのため、英会話を習うにあたって、国による英語の違いを意識しているとキリがありません。それより大切なのは「人に通じる英語が話せるようになるか」でしょう。よって、英会話の先生選びも、国籍に関係なくわかりやすく教えてもらえるかどうかに着目して選んでください。